2026年3月3日は桃の節句です。
3月に入り、日差しのぬくもりに少しずつ春の気配を感じる頃、迎えるのが桃の節句です。桃の節句は、古代中国の五節句の一つである上巳(じょうし)に由来します。もともとは旧暦3月最初の巳の日に行われていた行事で、季節の変わり目に起こりやすい病や災いを払うため、水辺で身を清める風習がありました。
この上巳の節句が日本に伝わると、紙や草で作った人形(ひとがた)で体をなでて穢れ(けがれ)を移し、それを川や海に流す「流し雛」の神事へと形を変えていきます。春先は寒暖差が大きく、体調を崩しやすい時期でもあります。こうした自然の移ろいの中で、人々は無病息災を願い、厄払いの行事を大切にしてきました。
やがて平安時代になると、宮中で行われていた「ひいな遊び」と呼ばれる人形遊びと結びつきます。小さな人形や調度品を並べて遊ぶこの風習が、厄払いの意味合いと融合し、現在のひな祭りの原型になったと伝えられています。災厄を身代わりに引き受ける存在だった人形は、次第に子どもの健やかな成長と幸せを願う象徴へと変わっていきました。
桃の節句と呼ばれるのは、旧暦3月がちょうど桃の花の咲く頃にあたるためです。桃は古来より邪気を払う力があると信じられてきました。現代の暦では3月3日はまだ冷え込む日もありますが、梅や早咲きの桜がほころび始めるなど、春の足音が確実に近づく時季でもあります。
寒さと暖かさが交差するこの季節。ひな人形を飾り、春の訪れを祝いながら、健やかな一年を願う行事は、自然のリズムとともに受け継がれてきた日本の大切な季節文化のひとつといえるでしょう。
執筆者:お天気.com気象予報士


