2014年の天気・天候
2014年(平成26年)の天候の特徴は以下のとおりです。
年平均気温は、全国で平年並
北日本では、冬から春の前半にかけて気温の低い期間が多く、東日本及び西日本でも、夏の後半から9月前半にかけての低温が明瞭だったが、その他は気温の高い期間も多かった。また、沖縄・奄美でも、夏から秋の前半は気温の高い状態が続いたが、その他は気温の低い期間が多かった。このため、年平均気温は全国で平年並だった。
東日本日本海側と北日本は多雨・多照
北日本及び東日本では、春から夏の前半及び秋に高気圧に覆われて晴れの日が多かったことから年間日照時間は多く、特に北日本太平洋側と東日本ではかなり多かった。一方、低気圧や台風等の影響でたびたびまとまった降水となったため、東日本日本海側と北日本の年降水量は多かった。
西日本は、2003年以来11年ぶりの冷夏
西日本の夏の平均気温は、太平洋高気圧の西日本への張り出しが弱かった等の影響で低く、2003年以来11年ぶりに冷夏となり、さらに日照時間もかなり少なかった。特に、西日本太平洋側で1946年の統計開始以来、8月における月間日照時間の少ない記録と月降水量の多い記録を更新した。一方、北・東日本では、日本の東海上の高気圧が強く、高気圧周辺で南から暖かい空気が流れ込んだため、また、沖縄・奄美でも、暖かい空気に覆われることが多かったため、夏の平均気温は高かった。
関東甲信地方で記録的な大雪
2月上旬と中旬に、低気圧が発達しながら日本の南岸を通過し、太平洋側では広い範囲で大雪となった。特に、14日から16日にかけては、関東甲信地方を中心に過去の最深積雪の記録を大幅に上回る記録的な大雪となった。
「平成26年8月豪雨」が発生
7月30日から8月26日にかけては、台風第12号が接近し、台風第11号が上陸するとともに、前線が日本付近に停滞し、日本付近への暖かく非常に湿った空気が継続して流れ込んだため、四国地方をはじめとして各地で大雨となり、広島県広島市では集中豪雨による大規模な土砂災害が発生した(「平成26年8月豪雨」と命名)。
1 概況
冬から春の前半にかけては、全国的に、気温の低い時期と高い時期が交互に現れた。強い寒気の南下は一時的で日本海側の冬の降雪量は少なかった一方、関東甲信地方では記録的な大雪に2度見舞われた。春の後半から夏の前半にかけては、北日本と東日本では、移動性高気圧に覆われて気温の高い晴れの日が平年と比べて多かった。西日本では、5月に晴れの日が多く、6月に曇りや雨の日が多くなったが、気温はほぼ平年並だった。一方で、沖縄・奄美では、梅雨前線の影響を受けて、曇りや雨の日が多かった。夏の後半から9月半ばにかけては、北日本から西日本にかけては、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが弱かったため、気温が低く、東日本と西日本を中心に曇りや雨の日が多かった。また、2つの台風や前線等の影響で長期間にわたり広い範囲で大雨に見舞われた(「平成26年8月豪雨」)。9月半ば以降は、周期的に気温の高い時期と低い時期が現れ、北日本と東日本を中心に移動性高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、10月は2つの台風が上陸し、ほぼ全国的に降水量が多かった。沖縄・奄美では、冬から春の前半まで気温の低い時期が多かったが、夏から秋の前半にかけて気温の高い日が多く、特に9月は記録的に気温が高かったほか、先島諸島では夏以降の少雨が11月まで継続した。その後12月に入ると強い寒気が南下することが多く全国的に気温が低くなった。これらの結果、年平均気温は、全国で平年並だった。また、高気圧に覆われて晴れの日が多かったため、年間日照時間は北日本太平洋側と東日本でかなり多く、北日本日本海側で多かったが、低気圧や台風等によるまとまった降水があったため、これらの地域では年降水量も平年を上回った。一方、6月以降、8月を中心に曇りや雨の日が多かった西日本では、年間日照時間が少なく、年降水量は平年を上回った。また、奄美地方から沖縄本島にかけての年降水量は多かったが、先島諸島では顕著な少雨となったため、沖縄・奄美では、年降水量は少なかった。
冬は、東日本と沖縄・奄美では、一時期を除いて寒気に覆われることが多く、冬の平均気温は低くなり、東日本では3年連続の寒冬となった。一方、前年12月の気温が高かった北日本と1月下旬に気温がかなり高くなった西日本では平年並だった。一方で、上空の強い寒気の南下は一時的だったことから、日本海側の降雪量は北日本の山沿い等を除いて平年を下回った所が多く、特に北陸地方の平地では平年を大きく下回った。また、2月には低気圧が発達しながら日本の南岸を2度通過し、太平洋側では広い範囲で大雪となり、特に14日から16日にかけては、関東甲信地方を中心に過去の最深積雪の記録を大幅に上回る記録的な大雪となった。
春は、北日本から西日本にかけては、期間を通して高気圧に覆われる日が多かった。春の日照時間は沖縄・奄美を除いてかなり多く、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側では、統計を開始した1946年以降最も多かった。また、春の降水量は、北日本日本海側と西日本では少なかったが、低気圧の通過時にまとまった降水があったことから、北日本太平洋側と東日本は平年並だった。東・西日本では、寒気が南下し低温となる時期もあったが、3月下旬と5月下旬に南から暖かい空気が流れ込み、気温が平年を大幅に上回ったことなどから、春の平均気温は高かった。沖縄・奄美では、冷涼な高気圧や寒気の影響を受けて気温の低い日が多く、春の平均気温は低かった。
夏は、梅雨前線の影響は沖縄・奄美を除いて弱かったが、主に7月30日からの2つの台風や前線等の影響で広い範囲で大雨に見舞われたことから(「平成26年8月豪雨」)、北日本、西日本太平洋側では夏の降水量がかなり多く、東・西日本日本海側でも多かった。また、西日本では、気圧の谷の影響と太平洋高気圧の西日本付近への張り出しが弱かった影響で、夏の日照時間がかなり少なく、夏の平均気温は、2003年以来11年ぶりに低く、冷夏となった。一方、日本の東海上で高気圧が強かった影響で、高気圧周辺で南から暖かい空気が流れ込んだ北・東日本及び暖かい空気に覆われることが多かった沖縄・奄美の夏の平均気温は高く、北・東日本では5年連続の暑夏となった。
秋は、北日本から東日本にかけて、大陸からの移動性高気圧に覆われて、晴れる日が多かった。このため、東日本日本海側と北日本の秋の日照時間はかなり多く、東日本日本海側と東北地方では1946年の統計開始以来、秋としては最も多い記録を更新した。北日本と東日本では、2010年から4年連続で秋の平均気温が高い年が続いていたが、9月を中心に大陸からの冷たい空気を伴った高気圧に覆われる日が多かったため、5年ぶりに秋の平均気温は平年並となった。また、沖縄・奄美では、高気圧の勢力が平年より強かったため、先島諸島を中心に秋の平均気温がかなり高く、秋の降水量は少なかった。
2 気温、降水量、日照時間等の気候統計値
(1)平均気温
年平均気温は、全国的に平年並だった。
(2)降水量
年降水量は、北日本と東日本日本海側、西日本太平洋側で多かった。一方、沖縄・奄美では少なく、西表島(沖縄県)では年降水量の少ない方からの1位の値を更新した。東日本太平洋側と西日本日本海側では平年並だった。
(3)日照時間
年間日照時間は、北日本太平洋側と東日本でかなり多く、北日本日本海側では多かった。室蘭(北海道)、仙台(宮城県)、熊谷(埼玉県)など6地点では、年間日照時間の多い方からの1位の値を更新した。一方、西日本では少なかった。沖縄・奄美では平年並だった。
出典:気象庁