表層雪崩と全層雪崩の違い
雪崩には、すべり面や崩れ方の違いによって、「表層雪崩(ひょうそうなだれ)」と「全層雪崩(ぜんそうなだれ)」の大きく2つのタイプに分けられます。雪はミルフィーユのような層になっていて、かなり前に積もった古い層、少し前に降った雪の層、新たに最近積もった雪の層など性質が違うものが積み重なって積もっています。
表層雪崩とは、古い積雪面に降り積もった新雪が滑り落ちるタイプの雪崩のことです。表層雪崩は気温が低く、雪の多い1月から2月の厳寒期に発生が多く、滑り落ちるスピードは、時速100㎞から200㎞で新幹線並みと非常に早く、被害も広範囲に渡るのが特徴です。春先に季節外れの大雪になる時なども危険性が高くなり、2017年3月に栃木県の那須岳で高校生7人を含む8人が犠牲になった雪崩事故も表層雪崩が原因と見られています。表層雪崩は前兆がほとんどありませんが、人が雪面に踏み入ったちょっとした重みがきっかけになることもあり、バックカントリースキーヤーや冬山登山客などが巻き込まれるケースが目立っています。
全層雪崩とは、降り積もった斜面の雪の層全体が崩れる雪崩のことです。、春先に急激に気温が上がったり、雨が降る時などに発生が多くなります。全層雪崩のスピードは時速40㎞から80㎞と自動車並みですが、斜面の固くて重たい雪の重さは1㎥あたり0.5トンにも達し、家屋の倒壊などを引き起こすことがあるエネルギーの大きな雪崩となります。