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大気汚染に国境なし! 春に多い黄砂・PM2.5 ~生活・健康への影響は?~

春に空が霞む原因となる黄砂PM2.5。空気が乾燥する春に偏西風に乗ってやってくるこれらの大気汚染物質により、生活や健康に様々な影響が懸念されます。大気汚染に国境はありません。春の気象災害といっても過言ではない黄砂とPM2.5による大気汚染に備えましょう。

4月をピークに飛来する黄砂

黄砂とは、東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯から強風により吹き上げられた多量の砂やちりが、風によって運ばれ、大気中に浮遊する現象のこと。日本では例年4月をピークに春に多く飛来し、空が黄色っぽく煙ることがあります。ぜんそくなど呼吸器系疾患を悪化させることがあり、要注意です。

一般的には、黄砂による視程(見通せる距離)と生活への影響は以下のようになります。
・視程10㎞位になると、遠くがぼんやり霞んで見える
・視程5㎞位になると、車や洗濯物に砂の汚れが目立ってくる
・視程2㎞位になると、飛行機など交通機関にも視界不良が影響する

黄砂対策のポイント

空が霞むほどの量の黄砂が飛来している時は、洗濯物の外干しや洗車を控え濃度が高い時は出来るだけ窓を開けないようにしましょう。外出時は、マスクを着用し、帰宅後は早めに入浴や洗顔をして、黄砂を洗い流すことをおすすめします。
また、喘息など呼吸器系疾患のある方は、息が荒くなるような屋外での運動を控えるようにしましょう。

PM2.5の健康影響

黄砂と合わせて春に空が霞む原因となるPM2.5。大気中に浮遊する粒子のうち、直径が2.5㎛(1µm=1mmの千分の1)前後の非常に小さい微粒子状物質がPM2.5で、黄砂の中で粒子が小さいものはPM2.5として、捉えられます。PM2.5は髪の毛の太さの30分の1程度と非常に小さい粒子のため、吸い込むと肺の奥まで入りやすく、ぜんそくや気管支炎の悪化、肺がんリスクの上昇、不整脈など循環器系への影響も懸念されます。

PM2.5の成分は、工場等からのばいじん、自動車の排気ガス等の人間活動によって発生したものが主です。中国大陸で発生したものが偏西風で流されて飛来したり、シベリアの森林火災の煙が北風に乗って日本へとやってくるケースもあります。

地域由来の汚染物質による影響も!?

PM2.5は遠くから飛来するものだけではありません。近くの工場や家庭・自動車等から排出された地域内の汚染物質が加わって、高濃度となるケースもあります。粒子の細かいタバコの煙にもPM2.5が含まれるため、健康のためにも禁煙をおススメします。

気象条件としては、朝にほぼ無風状態で濃い霧が発生し、汚染物質が大気に留まりやすい状況になる十分な注意が必要となります。視程(見通せる距離)も100メートル未満となって、かなり見通しの悪い状態で霧が汚染物質とともに空気中を長時間漂うような時は、健康被害が起きるリスクが高まります。PM2.5の濃度が上昇し、濃い霧が発生する時には、自治体からも注意喚起に関する情報が出される場合がありますので、最新の情報を確認するようにしましょう。

対策は予測情報のチェックから

空が霞んでいる日やニュース・天気予報で黄砂やPM2.5が飛来すると伝えられた時は、気象庁Webサイトの黄砂情報や、環境省のPM2.5の観測情報Webサイトを確認しましょう。九州大学のSPRINTARSのWebサイトでは黄砂とPM2.5の最新予測1週間先まで確認することができるのでとても便利です。

〔画像引用:気象庁の黄砂情報

すぐに出来る対策はマスクです。一般的な不織布マスクでも、黄砂やPM2.5をある程度は吸い込む量を減らす効果があります。医療用の高性能マスク(サージカルマスク)を着用すると、粒子の小さいPM2.5の吸入量をさらに減らすことができます。
マラソンなど長時間の屋外での激しい運動は避けて、黄砂やPM2.5濃度が高い日は、外にいる時間をいつもより短めにすると良いでしょう。また、農作物などの食品の安全性については、黄砂やPM2.5が付着したものを食べることによる健康被害の報告例はなく、水で洗えば簡単に落とすことができます。

〔画像引用:九州大学sprintars

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この記事の執筆者

森山 知洋 気象予報士/健康気象アドバイザー/防災士/北海道防災教育アドバイザー

20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。

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