気候変動 気温が1℃上昇するとどうなる?水蒸気は7%増加!雨は激しく!
地球温暖化や気候変動の影響で気温が1℃上昇すると、大気中に含むことができる水蒸気量は平均で約7%増加するという関係があります。
このように水蒸気量が増える影響で発達した雨雲が発生した場合は、これまで以上に雨は激しさを増す恐れがあります。
温暖化による気温上昇は、暑さを強めるだけでなく、同時に雨も強めるため、豪雨災害リスクの増加が懸念されています。特に梅雨時期などには、海からの湿気たっぷりの空気が加わって、同じような場所に活発な積乱雲が次々と流れ込む「線状降水帯」が発生しやすくなり、十分な注意が必要です。
また、気温が上がると、激しい雨が増える一方で、連続して雨が降らない連続無降水日数も増加する傾向があり、雨の降り方が両極端化する方向にシフトします。農業では数日に一度平均的な量の雨が降ることが望ましいですが、雨が降る時には激しく、大雨のリスクが高まると同時に、干ばつの発生リスクも高まるため、農業経営にとって、今後の気候変動の影響はますます大きくなりっていきそうです。
非常に激しい雨は増加傾向
[画像引用:気象庁WEBサイトより]
非常に激しい雨の発生回数がどれくらい増えているかを見てみると、全国の1時間降水量50mm以上の大雨の年間発生回数は増加しています。
統計期間の1976~2023年で10年あたり28.2回の増加し、最近10年間(2014~2023年)の平均年間発生回数(約330回)は、統計期間の最初の10年間(1976~1985年)の平均年間発生回数(約226回)と比べて、約1.5倍も増加しています。
海水温の上昇でさらに雨は激しく
[画像引用:気象庁WEBサイトより 2023年8月の海水温平年差]
観測史上1位の猛暑となった2023年8月の日本付近の海水温を見てみると、図のように北日本を中心に平年より5℃前後も海水温が高くなっていました。海水温が高くなることでさらに暑さを強めただけでなく、海からの水蒸気の供給量が増えることで、夏場の急な激しい雨や雷雨(いわゆるゲリラ雷雨)の発生数も2023年は多くなりました。
気候変動の影響で、近年、毎年のように日本国内で1000人以上が命を落とす熱中症対策の強化はより一層大切になっていく見通しです。
また、水蒸気量の増加によって、激しい雨や大雨リスクも高まるため、雨が強まった時に自分の地域の危険度をいつでもすぐに確認できるようにキキクル(危険度分布)の情報なども使い慣れておくとよさそうです。
キキクルの見方
この記事の執筆者
森山 知洋 気象予報士/健康気象アドバイザー/防災士/北海道防災教育アドバイザー
20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。