警報の正しい活用法!~備える時間と発表の基本ルール~

気象災害には備える時間がある

自然災害は様々ありますが、地震や噴火など突然起きる災害と、大雨や暴風などの気象災害とでは「事前に備える時間」に大きな違いがあります。地震の場合、事前に予知することは難しいため、自分の住む地域の災害リスクを確認した上で、日頃から備えをしておくことで減災につながります。

一方、気象災害は、例えば、台風や低気圧の動きなどから災害の危険性をある程度は事前に予測可能なため、備える時間があります。気象災害については、危険な時間帯に危険な場所にさえいなければ、人が犠牲になることは防ぐことができます。このため、気象災害に対しては、警報などの最新の防災情報を入手し、事前に備えたり、場合によって避難行動をとることで命を守ることができるのです。

警報発表の基本ルールとは

気象警報は、重大な災害が発生する恐れがある時に発表されます。ところが、穏やかに晴れている時に自分の市町村に警報が発表されたのを見聞きした経験はないでしょうか。警報の発表の基本ルールとしては、危険な状態になる時間の「3~6時間前」に備える時間をもって発表されるようになっています。このため、備える時間がある気象災害に対して、災害が起こる前に対策や避難行動への備えをすることが出来るようになっています。

予報が当たっていても…災害事例の教訓

警報にこのような基本運用ルール(危険な時間帯の3~6時間前に発表)があることへの認知度が低いこともあり、天気予報が当たっていても、多くの犠牲者が出た災害事例があります。2013年3月2日に北海道東部を襲った暴風雪災害では、朝の段階では穏やかに晴れていたのですが、午後になって天気が急変して猛吹雪となりました。

この日は、土曜日で午前はお出かけ日和で多くの方が外出していたのですが、早めに帰宅せずに午後に外出先から戻るのが遅くなった人達が暴風雪によって視界が奪われる道路で立往生したり、方向感覚を失って遭難したりするなど9人が犠牲になりました。この日、気象庁からは朝から昼前の段階で対象となる地域に暴風雪警報を発表し、午後から天気が悪化し、猛吹雪になることの警戒を呼び掛けていましたが、上手く情報が行き届きませんでした。

つまり、天気予報は概ね当たっていたにもかかわらず、多くの犠牲者が出てしまったのです。このような教訓もあるため、たとえ今穏やかに晴れていても、危険な時間帯になる3~6時間前に備える時間をもって前もって警報は発表されることを正しく知って、上手に情報を活用しましょう。

また、同じ市町村内でも面積の大きいところでは、例えば大雨警報が発表されても、大雨になる地域とならない地域があるため、警報発表後に必ず、雨雲レーダーなどで最新の予測情報を確認して、自分の地域で危険な状態になる可能性があるかどうかを確認する習慣をつけることをおススメします。また、当初の予想から天気が急変した場合は、例外的に警報発表時からすぐに警戒となる場合もありますので、常に最新の情報を入手できるようにしましょう。

いつから警戒?「警戒期間」をチェック

警報が発表される時には、必ず「いつからいつまで警戒が必要か」が明記されています。警報を正しく捉えるには、この警戒期間も確実にチェックすると良いでしょう。また、この警戒期間は、24時間を3時間刻みに分けた時間区分で表現されます。
午前は
・0時~3時が「未明」
・3時~6時が「明け方」
・6時~9時が「朝」
・9時~12時が「昼前」

午後は
・12時~15時が「昼過ぎ」
・15時~18時が「夕方」
・18時~21時が「夜のはじめ頃」
・21時~24時が「夜遅く」
という時間区分になっています。

〔画像引用:気象庁

天気予報の時間区分とは
【キーワード解説】

例えば、警報発表時に昼前から夜のはじめ頃まで警戒というように期間が示された場合は、午前9時過ぎから21時頃までは警戒が必要な期間と確認することができるのです。時間区分の表が頭に入っているとより良いですが、お天気.comのWEBのように表形式で時系列の警戒期間を確認できる場合も多いので、警報が発表されたら、自分の市町村はいつからいつまで警戒が必要かを合わせて確認して、良い備えをできるようにしておきましょう。

この記事の執筆者

森山 知洋 気象予報士/防災士/北海道防災教育アドバイザー

20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。

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