地震10秒診断~リスク情報をたった10秒でチェック~

地震への備えはリスクチェックから

切迫しているといわれる南海トラフ地震や首都直下地震をはじめ、地震多発国である日本はいつどこで大地震が起きてもおかしくありません。2024年元日に発生した能登半島地震でも多くの方が実感したように現在の科学では、地震は事前に起こることは予知できません。

ただし、地震のリスクについては、過去に発生した地震などの分析から、どの地域でどれくらい地震発生リスクが高まっているかを大まかには想定することは出来ると考えられています。その地震リスクが自分の住む場所ではどれくらいかを10秒程でチェックできる情報ツールが「地震10秒診断」です。地震10秒診断は、国立研究開発法人防災科学技術研究所と一般社団法人日本損害保険協会が共同開発し、Webで一般公開しているデジタルコンテンツです。

知りたい場所で今後30年以内に震度5弱~震度7までの5段階の揺れに見舞われる確率やライフラインの復旧にかかる期間などの数値をたった10秒程度で診断結果を確認することができるのです。

〔画像・情報引用:地震10秒診断

地震10秒診断の活用法


地震10秒診断は、スマホなどの位置情報から現在地の情報を調べられたり、郵便番号や代表的な建物や地点はもちろん、細かい住所を入力して情報を確認することができます。

例えば、東京都の江東区役所と入力して地震10秒診断をすると、震度7が今後30年以内に起こる確率は3%と表示されます。震度の条件を変えて診断する機能もあり、震度6強にすると30年以内の確率が33%、6弱では84%、5強や5弱では100%という予測の診断結果が表示されます。

震度5弱以上の揺れになると、安全装置のあるガスメーターがストップしたり、断水や停電が発生する可能性があり、地震管制装置付きエレベーターは停止するなど様々なライフラインに影響がでることが想定されます。

そのような地震の発生確率が今後30年以内に100%と想定されているのです。また、東日本大震災の時にも江東区を含めて都内9区と2市1村では最大震度5強を観測していますが、東日本大震災と同程度の揺れである震度5強の30年以内確率が100%という恐ろしい想定結果であるのです。また、さらに激しい揺れとなる震度6以上も高い確率ということも確認できます。

この地震リスクデータは、防災科学技術研究所が250メートルメッシュのきめ細かさで計算したデータ(地震ハザードステーションの「確率論的地震動予測地図」を元に算定)となっているため、同じ市区町村でも、隣の地区とでは異なる診断結果となります。

全国規模でみると、北海道から四国にかけての太平洋側の地域で特に地震リスクの高いエリアが多い傾向がありますが、想定の段階でそれほど高い確率ではない石川県能登半島で最大震度7の大地震が起きたように、あくまでも確率的なリスク情報として、それほど確率の高くない地域は捉えるべきですし、リスクの高い地域では、このデータからより一層、大地震が切迫していることを認識して、日頃の備えをしていくことが大切です。

停電・断水…ライフラインへの影響は

地震リスクデータとともに、診断されるライフラインの支障日数にも注目です。例えば、江東区役所の地点では、震度6弱の地震が発生した場合、停電日数は3日、ガス停止日数は12日、断水日数は20日にも及ぶという想定結果が算出されます。この他にも、木造・鉄筋コンクリート造別の建物全壊確率出火確率などの想定値も確認できます。

ライフラインの復旧速度については、色々なケースがあると想定されるため、復旧速度が遅い場合や早い場合などと条件を変えて診断しなおすこともできます。ライフラインへの影響度を気軽に確認できるので、想定される停電や断水日数などから備えを見直すきっかけにするのもおすすめの使い方です。

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みんなで共有して防災力アップ

地震10秒診断で確認するのは、自分の住む場所だけではなく、離れて暮らす家族や知人の住所でも調べて、地震リスク情報をみんなで共有するとよいでしょう。また、職場や学校周辺、旅行先の地震リスクも調べておくと、自宅以外で地震が発生した時の想定にも活用可能です。また、引っ越し先や家やマンションを購入する予定の住所の地震災害リスクを事前に確認し、住む場所を考える一つの判断材料にすることもおススメの使い方です。

このように一人一人の災害リスク情報の事前チェックの輪が広がっていくことで、地域全体の備える意識の向上や防災力アップに繋がっていくことも期待できます。

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この記事の執筆者

森山 知洋 気象予報士/防災士/北海道防災教育アドバイザー

20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。

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