線状降水帯とは?仕組みなどを簡単に解説
線状降水帯とは、複数の活発な雨雲(積乱雲)が次々と同じ場所に流れ込むことによって発生する線状に連なる発達した積乱雲の集合体のこと。
気象庁が示す定義としては、長さ50~300km程度、幅20~50km程度の線状に伸びる強い降水域を指します。線状降水帯による雨雲がかかり続ける地域では集中豪雨となり、河川の増水や氾濫、土砂災害、低地の浸水などの発生の危険性が非常に高まります。
近年は線状降水帯による大災害が多発しています。2021年8月の九州北部の豪雨(令和3年8月豪雨)では、長崎県や佐賀県を中心に河川の氾濫による大きな被害が発生しました。また、2020年7月の熊本豪雨(令和2年7月豪雨)では線状降水帯により球磨川流域を中心に大規模な洪水被害に見舞われました。
2018年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)では、死者・災害関連死含めて300人を超える平成最悪の大雨災害となった原因も、岡山県や広島県、愛媛県など複数地域で線状降水帯が発生したためです。
線状降水帯などによる集中豪雨から身を守るためには、雨雲レーダーや大雨警報などの確認に加えて、キキクル(危険度分布)などの防災気象情報を活用することが大切です。
自分の住む場所の大雨による災害発生の危険度をリアルタイムで確認するとともに、自治体からの避難に関する情報をいつでも入手できる状態にし、早めに避難行動をとれる想定と準備が必要になります。
この記事の執筆者
森山 知洋 気象予報士/防災士/北海道防災教育アドバイザー
20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。