ひょうはどんな時に起きる?発達した積乱雲に備えて
ひょうとあられの違い、 多い時期と地域は?
ひょう(雹)は発達した積乱雲から降ってくる直径0.5㎝以上の氷の塊です。大きさが0.5㎝未満の粒の小さいものはあられ(霰)として区別されます。
ひょうが多い時期は、気温が一番高い真夏よりも、氷の粒が地上に届くまでに融けずに落ちてきやすい5月から6月や9月から10月です。
ひょうの発生頻度が多い地域は、日中の気温が高くなりやすい内陸部や山間部です。これらの地域は、地上が高温時に上空との気温差が大きくなり、大気の状態が不安定になりやすいことに加え、周囲の高い山々で発生した積乱雲が通過する場合が多く、局地的に降ひょう被害をもたらすことがあるのです。
大きいほど被害は甚大
ひょうは、積乱雲(雷雲)で作られます。積乱雲の中で氷の粒が落下してくるのを、地上からの強い上昇気流で押し戻すことを繰り返すうちに、氷の粒のまわりに細かい水や氷の粒がくっついて凍っていきます。そして、氷の粒がだんだん大きく重くなると、上昇気流では支えきれなくなって地上に落ちてくるのです。
ひょうが直径1㎝ほどになると、落下速度は時速50㎞、直径が5㎝では落下速度は時速約100㎞という恐ろしいスピードと衝撃になります。
昭和8年6月14日に兵庫県南部では、直径4~5㎝のゴルフボール並みのひょうが降り、10人が死亡する日本最悪の降ひょう被害が発生しました。過去には、ソフトボールくらいの大きさのものや、直径約30cmのかぼちゃくらいの大きさのものが降ったという記録もあります。
一般的に直径が2~3㎝の雹が降ると、農作物が大きな被害を受け、3㎝を越える大粒のひょうの場合はほとんど全滅に近い被害を受けるとされています。
〔参考情報:熊谷地方気象台〕
積乱雲の接近に備える
ひょうを降らせる積乱雲の水平方向の大きさは数㎞程度と小さいため、事前にいつどこで降るかを把握して、備えることは難しいです。ただ、発達した積乱雲が近づく時は、真っ黒な雲に覆われる、雷の音が聞こえる、急に冷たい風が吹くなどの兆しがあります。
天気予報で自分の地域が「大気の状態が非常に不安定」と伝えらえている時は、雨雲レーダーをこまめにチェックして、空模様の変化に注意しましょう。
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この記事の執筆者
森山 知洋 気象予報士/防災士/北海道防災教育アドバイザー
20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。