重ねるハザードマップとは?見方や使い方について解説
大雨・大地震・津波など様々な自然災害リスクに対する想定がきちんとできると備え方が変わります。備えが変わるといざという時の行動も変わります。自然災害に備える第一歩として、”重ねるハザードマップ”をチェックしてみて下さい。
災害大国ニッポンの現状は
世界で発生するマグニチュード6以上の地震のうち、約2割が日本付近で発生し、気象災害リスクも世界の中でも高い国です。日本のどこかでは毎週のように気象災害が発生していますし、いつどこで大地震が起きてもおかしくない、というのが災害大国日本の現状です。まずは、自分の住む場所の自然災害リスクを正しく知ることから、備えを始めましょう。
重ねるハザードマップとは
通常のハザードマップは、同じ地域でも洪水のハザードマップ・津波のハザードマップ・土砂災害のハザードマップなどと別々に分かれていますが、これらを同じ地図上で重ね合わせて見ることができる情報が「重ねるハザードマップ」です。
※重ねるハザードマップはこちら
「重ねるハザードマップ」は国土交通省が作成・公開しているWEBページで、洪水による浸水の危険箇所、土砂災害の危険箇所、さらに沿岸部では津波の危険箇所や高潮の危険箇所など複数の災害リスクを自分の知りたい場所について一つの地図上で重ね合わせて見ることができます。
どうやって見る?重ねるハザードマップ活用術
重ねるハザードマップを、2021年7月に大規模な土砂災害が発生した熱海周辺を拡大したもので見てみると、川の近くには洪水の危険エリア、斜面の近くに土砂災害の危険エリアが広がっています。さらに津波の浸水想定域が沿岸に広がっています。
こららを重ね合わせると、複数の災害リスクがある場所が多いとわかります。ここでもしも大地震が発生し、津波の危険がある場合、高台などに避難しなくてはいけないですが、もしも、大雨の最中だとすると、洪水や土砂災害の危険も想定した避難も考えておく必要があるとわかります。
また、重ねるハザードマップではこの他に、地震による液状化の発生傾向の強弱を5段階で表した液状化リスクや、地震の揺れが大きくなる傾向がある大規模盛土造成地も合わせて確認できます。
地図以外にも航空写真と重ね合わせて、地形を見ながら災害リスクをイメージすることができます。
この記事の執筆者
森山 知洋 気象予報士/健康気象アドバイザー/防災士/北海道防災教育アドバイザー
20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。