「最大瞬間風速」とは?気象予報士がわかりやすく解説
「瞬間風速」とは3秒間の風速の平均のことで、一定期間の瞬間風速の最大値のことを『最大瞬間風速』として観測しています。
一方で、一般的に風速と伝えられているのは、「平均風速」のことで、10分間の風速を平均した数値で、一定期間の平均風速の最大値を『最大風速』として観測しています。同じ時間帯の最大瞬間風速は、最大風速の約1.5倍(稀に約3倍)になることが多くなっています。
気象庁のアメダスの風速計は、絶え間なく変化する風の強弱を捉えれるように「0.25秒間隔」で風速を観測をしています。風は短時間に強くなったり弱くなったり,息をしているように不規則に変動していることから「風の息」という言葉があります。風速の観測では、このようなきめ細かい変化を捉えられるようになっています。
風速の単位「m/s」とは?
日本で風の強さの表現する単位として一般的に使われているのが「m/s」。これは1秒(s)間に空気の粒子が風によって何メートル(m)移動するかという勢いをスピードで表しています。例えば、風速25m/sでは、1秒間に25mも空気が移動するような風の勢いがあるということになります。
速さの単位として、日本で最も馴染みのある単位であるのは時速の「㎞/h」。例えば、25m/sを時速㎞/hに変換すると、90㎞/hとなり、高速道路を走る自動車並みのスピードになります。つまり、風速25m/sの風の体感としては、高速道路を時速90㎞/hで走行するオープンカーの窓を開けて激しい風を受けているようなイメージとなります。
風の強さ別の生活への影響・被害は?
最大瞬間風速や最大風速がどれくらいの強さになると、どのような影響が出るかを確認してみます。
大まかな目安は表のような影響で、
・平均風速が15m/sに近づくと、雨が降っていると☂傘をさせなくなります。
・平均風速が15m/s~20m/sになると、最大瞬間風速は30m/s以上の突風が吹くことになり、風に向かって歩けなくなり、転倒する人が出ることもあります。
・平均風速が20m/s~25m/sになると、最大瞬間風速は40m/s以上の激しい突風が吹くことになり、何かにつかまっていないと立っていられない暴風で、細い木が折れたり、看板が落下したりする危険度が高くなります。
・平均風速が25m/s~30m/sになると、最大瞬間風速は50m/sという非常に危険な突風が吹くことになり、屋外での行動自体が極めて危険になり、走行中のトラックが横転してしまうような極めて強い風です。
身近なところでは、平均風速で5m/s以上になると洗濯物はしっかりとめていないと飛ばされる可能性があり、平均風速で10m/sくらいになると、停めてある自転車が横倒しになるようなやや強い風となります。また、一般的に暴風警報は、最大風速18m/s以上を基準に発表される場合が多くなっています。天気予報で風の強さを確認する時の参考にしましょう。
この記事の執筆者
森山 知洋 気象予報士/防災士/北海道防災教育アドバイザー
20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。