春の強風・春の嵐に備えて
春は強風の季節
春は穏やかな日が多くなるイメージを持っている方も多いと思いますが、風速10m/s以上の強い風が吹く「強風日数」は多くの地域で春が最も多くなります。
春に風の強い日が多くなるのは、発達した低気圧の通過が多いことと、日ざしの強まりによって空気の対流が活発になるためです。
暴風災害をもたらす春の嵐
2012年4月3日~4日にかけて、日本列島を縦断した急速に発達した低気圧(いわゆる爆弾低気圧)による暴風による大災害が発生しました。この低気圧により山形県酒田市飛島では最大瞬間風速51.1m/sを観測するなど、各地で記録的な暴風となり、転倒や屋根からの転落、倒木の直撃などにより全国で死者5人、約500人の負傷者がでました。
また、広範囲の停電、トラックなどの横転事故、住宅の破損、交通機関のマヒなど様々な被害が発生する春の嵐となりました。この低気圧は、中心気圧は4月2日21時からの24時間で中心気圧が42hPaも低下し、その後さらに950hPa台まで異例の急発達をしたことが被害を全国規模で大きくさせた原因となりました。翌日の4日は北日本では季節外れの暴風雪に見舞われました。
風速と風圧の関係
実は風速が2倍になると、風圧(風で押される力)はなんと4倍になるという関係があります。風速が3倍になったら、風圧は9倍になってしまいます、風によって飛ばされたり、壊されたりする破壊力が増していきます。身近なところでは、強風時の車のドア開けによってケガをする恐れや車の破損事故にもつながるため注意が必要です。
春の強風に備えて
飛散物によるケガ、車の停車時のドア開け事故、停電、交通障害などの他にも、砂ぼこりによる視界不良や火災が、強風に加えて乾燥する春に特に多くなる傾向があります。
また、学校や会社など外出時は、強風により交通機関が乱れたり、帰宅困難になるおそれがあります。暴風警報が発表された場合は、学校や会社の指示に従って早めに帰宅するなど、強い風のピークを避けて行動することも大切です。
家の周りの強風・暴風への備えとしては、まず、自転車やガーデニング用品、物干し竿のような倒れやすいもの等は固定するか家の中に入れること。雨戸、窓、シャッターを点検し、場合によっては補強しておく。特に窓ガラスに飛散防止用のフィルムを貼っておくと、暴風対策にも大地震対策にもなるためおすすめです。
〔画像引用:政府広報オンライン〕
風の強い春は、日々の天気予報で風の強さをチェックして、暴風に関する気象情報が発表されたら、風が強くなる前に、飛びやすいものは固定するなど、対策を行いましょう。
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この記事の執筆者
森山 知洋 気象予報士/防災士/北海道防災教育アドバイザー
20年以上の気象予報士歴の中で放送局での災害報道や気象キャスターなど様々な業務を経験。防災講演の講師を務めるなど防災や健康気象のスペシャリストとしても幅広く活動中。