竜巻の発生とメカニズムと時期
竜巻は激しい空気の渦巻きであり、積乱雲から垂れ下がる雲と陸上では砂じん、海上では水柱を伴います。発生は大気の状態が不安定となり、上層の風が強く、下層で大量の水蒸気を含んだときに発生しやすくなります。
アメリカやオーストラリアで起こる竜巻はトルネードと呼ばれます。
竜巻が発生するメカニズム
竜巻とは、積乱雲に伴って発生する強い空気の渦巻きのことです。日本で起きる竜巻のほとんどは、地上近くで風が回転しているところに、上昇気流が重なった時に、発生すると考えられています。風が回転しながら上へあがるにつれて、回転の半径が小さくなり風が強くなる結果、竜巻となります。
竜巻はスコールラインや寒冷前線に伴って発生する巨大雷雨のフックエコー付近や停滞前線の南北の移動・台風・熱帯低気圧による不安定な気象条件が主な要因となっています。
竜巻の風速
被害状況などから風速100~110m/sを超えるものが多く、上昇気流は90m/sに達すると推定されます。
竜巻が発生する時期
上昇気流は台風や積乱雲等と一緒に現れるので、竜巻の発生は夏~秋の時期が多く、全体の70%を占めています。
竜巻の発生は夜間よりも昼間に多く確認されています。特に、11時~18時にかけてピークが見られるようです。
●月別の竜巻発生数(1991~2015年)
月 | 発生数 |
1月 | 13 |
2月 | 17 |
3月 | 14 |
4月 | 17 |
5月 | 19 |
6月 | 26 |
7月 | 38 |
8月 | 54 |
9月 | 99 |
10月 | 67 |
11月 | 41 |
12月 | 25 |
竜巻の大きさや寿命
竜巻は水平規模が数10メートルから数100メートル程度の大きさの現象で、寿命は数分から10数分です。
竜巻の発生しやすい場所
竜巻は平らな場所で起こります。
日本のように山が多いデコボコした土地が多い場合、竜巻は海上で起こる方が多いようです。
発達した積乱雲の近づく兆し
以下の状況になると、竜巻が発生するような発達した積乱雲が近づいている可能性があります。
頑丈な建物の中に入るなど身の安全を守る行動を摂るといった対応が必要です。
・真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる
・雷鳴が聞こえたり、雷光が見えありする
・ヒヤッとした冷たい風が吹き出す。
・大粒の雨や「ひょう」が降り出す。
竜巻等の激しい突風とは
・竜巻
・ダウンバースト
・ガスとフロント
藤田スケール(Fスケール)とは
1971年にシカゴ大学の藤田哲也博士により、竜巻やダウンバースト等の突風により発生した被害の状況から風速を大まかに推定する方法が考案されました。
日本版改良藤田スケール(JEF)スケールとは
藤田スケールは、米国で考案されたものであり、日本の建築物の被害等に対応していないなどの問題点等があったため、気象庁は国内でも使いやすいようにと、スケールを6段階(JEF0~JEF5)に分けて、表現する事に決めました。
平成28年4月より国内の突風調査に使用されています。
アメリカで発生するトルネードと日本の竜巻の比較
年間生数
・日本:25個
・アメリカ:1300個
地域分布
・日本:海岸線沿い(山地が多く、平野部が少なことも関係している)
・アメリカ:中緯度平野部
季節変化
・日本:9月~10月
・アメリカ:5月~6月
発生環境とその違い
・日本:低気圧や台風接近時
・アメリカ:北極からの寒気団とカリブ海からの暖気団が衝突する地域で大気の状態が不安定な時に発生しやすい
最も大きな被害
・日本(2006年11月7日):北海道佐呂間町で発生した竜巻(F3)死者9名
・アメリカ(1925年3月18日:ミズーリ州・イリノイ州・インディアナ州(F5)死者695名