前線とは?前線の種類や温暖前線、寒冷前線の違い。梅雨前線や秋雨前線は?
前線(ぜんせん)とは、冷たい空気と暖かい空気の境目で地表と交わる部分を前線といいます。
発源地の異なる寒気団と暖気団が出会うところでは、2つの気団はすぐには混ざらず境界ができます。寒気団の空気は暖気団の空気に比べて密度が大きいので、寒気は暖気の下に潜り込むように入り込みます。この2つの気団の間で気温が移り変わる層を前線面(frontal surface)といい、前線面が地表と交わる線を前線(front)といいます。
前線の種類
前線には、温暖前線(おんだんぜんせん)、寒冷前線(かんれいぜんせん)、閉塞前線(へいそくぜんせん)、停滞前線(ていたいぜんせん)の4種類があります。梅雨前線や秋雨前線は通常、停滞前線になります。
◆前線の種類
◆温帯低気圧と前線の種類
◆梅雨前線と前線の種類
温暖前線(warm front)
温暖前線(おんだんぜんせん)は寒気より暖気の方が勢力が強く、暖気が寒気を押すようにして進む時にできる前線。
温暖前線が近づくと、気温と湿度は次第に高くなり、気圧は急速に下がります。温暖前線が通過すると気圧はほぼ一定となり、気温と湿度は不連続に上昇します。
温暖前線の前線面の傾斜は比較的緩やかで、降水の範囲は前線から300km程度で前線に伴う雨は、通常、絶え間なく降り、降水の強さもあまり変化しない事が多くなっています。
寒冷前線(cold front)
寒冷前線(かんれいぜんせん)は暖気より寒気の方が勢力が強く、寒気が暖気を押しのけて進む時にできる前線。
寒冷前線が近づくと気圧は下がり始め、前線の通過後には急上昇します。気温と湿度は前線の通過前は高めですが、前線の通過後には急激に下がります。風は前線の通過前は南東~南西の南よりの風ですが、前線の通過後には西~北西に風向が急変する事が特徴です。
寒冷前線の前線面の傾斜は温暖前線より急で、降水の範囲は数10~100km程度と範囲は狭くなりますが、前線にう伴う雨は強弱の大きいしゅう雨となり、激しい雷や雹、突風などを伴う事もあります。
停滞前線(stationary front)
停滞前線(ていたいぜんせん)は暖気と寒気の勢力が同程度で前線がほとんど動かない(停滞)する前線。
停滞前線付近では地上の天気図の等圧線と500hPaなど高層天気図の等高度線が平行になる事が多くなります。
停滞前線はどの季節にも表れ、梅雨季の前半の梅雨前線や秋季の秋雨前線などは停滞しやすい特徴があります。梅雨前線や秋雨前線は停滞前線で表せられる事が多いですが、前線上の低気圧が発生した際には温暖前線や寒冷前線、閉塞前線などを伴うこともあります。
閉塞前線(occluded front)
閉塞前線(へいそくぜんせん)は温帯低気圧の域内で、寒冷前線が温暖前線に追いついた時にできる前線。
通常、寒冷前線は温暖前線より速度が速くなっています。
追いついた寒冷前線の後ろの寒気が温暖前線の前にある寒気より温度が低い時には、寒冷型閉塞前線(かんれいがたへいそくぜんせん)といい、寒冷型といいます。逆に温暖前線の前にある寒気が追いついた寒冷前線の後ろの寒気より温度が低い時には、温暖型閉塞前線(おんだんがたへいそくぜんせん)といい、温暖型といいます。
寒冷型は日本付近など大陸の東側で起こりやすく、温暖型はヨーロッパなど大陸の西側で起こりやすくなっています。
温暖前線と寒冷前線の交わった点は閉塞点(へいそくてん)と呼ばれます。温帯低気圧は発達する過程で寒冷前線が温暖前線に追いつき、閉塞がはじまった頃(閉塞点ができた頃)が通常、低気圧の最盛期となっており、閉塞された以降は衰弱期に入っていきます。閉塞された後に閉塞点に新たな低気圧が発生し、その低気圧が再発達するケースもあります。