フェーン現象とは?フェーン現象の原因や原理、起こりやすい季節
フェーン現象とは?
フェーン現象とは、気流が山越えをして降下する風下側のふもとでは、乾燥して気温が高くなる現象のことをいいます。
フェーン現象の原因や原理
山の風上側では、雲ができるまでは100m上昇するごとに1℃気温が下がり、雲ができ始めると100m上昇するごとに0.5℃気温が下がるようになります。風上側で生じた雲は山頂までに雨になったとします。
山頂から風下側のふもとに風が下りる時には100m下降するごとに1℃気温が上がるため、風上側より風下側で気温が上がり、空気は乾燥します。
例えば、気温20℃、湿度60%の気流が2000mの山に当たり、山を上昇し1000mで雲ができ始めたとすると、雲ができるまでは、100mで1℃下がる(乾燥断熱減率)ので1000mの地点では気流は10℃になります。
①【0mの風上の山麓では20℃】
②【1000mの風上の中腹では10℃】
20℃ – 1℃ × 1000m ÷ 100m = 10℃
雲ができ始めた1000mから山頂の2000mまでは100mで0.5℃下がるようになり(湿潤断熱減率)、山頂では5℃の気流となります。雲ができる前と後で気温の下降に差がありますが、これは、水蒸気が水滴に変わる際に放出される潜熱の影響により、気温の低下が鈍くなるためです。
③【2000mの山頂では5℃】
10℃ – 0.5℃ × 1000m ÷ 100m = 5℃
2000mの山頂から0mの麓まで気流が下る際には100mで1℃上がる(乾燥断熱減率)ので、山頂で5℃だった空気は麓では25℃となり、風上側の山を上昇する前の20℃より高くなっています。
山を上昇する際に気流に含まれていた水蒸気は雨となっているので湿度は下がりますが、気圧差などを考慮すると湿度は約35%くらいになります。
④【0mの風下の山麓では25℃】
5℃ + 1℃ × 2000m ÷ 100m = 25℃
フェーン現象は、端的に言うと、フェーン現象は乾燥した空気が上昇する時に気温が下がる割合(乾燥断熱減率)と湿った空気が上昇する時に気温が下がる割合(湿潤断熱減率)の差により起こります。
乾燥断熱減率・・・乾燥した空気塊が上昇する時に気温が下がる割合(100mで約-1℃)
湿潤断熱減率・・・水蒸気で飽和した空気塊が上昇する時に気温が下がる割合(100mで約-0.5℃)
フェーン現象 気圧配置と季節
日本では晩冬~春、秋~初冬などに発達した低気圧が日本海に進んでくると、湿った南よりの強い風が吹き、日本海側でフェーン現象が起こり、季節外れの高温になる事があります。
冬に北西の季節風が吹くと、太平洋側ではフェーン現象が起こっていますが、そもそもの気温が低いために、フェーン現象は目立ちません。
フェーンとボラ
一般に風が山を越えるとフェーン現象になり、気温が上昇しますが、地中海のアドレア海沿岸では、山にせき止められた寒気があふれ出るボラという現象があり、気温が急に低下します。
ボラもフェーンと同じように100mにつき約1℃の割合で上昇しますが、もともとあった空気が非常に低温の時には、昇温してもふもとより気温が低いことがあります。
また、風が斜面を降りる時に、重力や気流の集中により強風になる事があり、ボラによる強風をおろしと呼ばれます。
日本では神戸の六甲おろしなどが有名です。